ならしの動物医療センター

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report 症例報告

肛門嚢炎

2018.07.15

本日の症例は、お尻から出血していると来院されたワンちゃんです。

 

一週間前からお尻をこすっていたそうです。

出血に気付いたのは数日前との事でした。

 

診察すると…

 

 

肛門嚢が破裂した形跡があり、中に溜まっていた膿はすでに排出されていました。

スタンプ検査では傷口に細菌感染が依然として残っていました。

 

犬や猫には、スカンクと同じように、肛門の両側に肛門嚢という一対の分泌腺があり、強いにおいのする液体を分泌しています。

肛門嚢の出口は、肛門を中心として時計でいう4時と8時の位置にあり、排便時に分泌液を排出しています。

肛門嚢炎とは肛門嚢の出口が何らかの原因で閉塞したり、分泌液がうまく排出されず内容物が溜まりすぎてしまう事などが原因です。

さらに細菌感染が生じることで肛門嚢炎が発症します。(肛門周囲は便や尿で汚れやすく細菌に感染しやすい状態にあります。)

 

症状としては肛門に不快感を覚えるため、肛門をなめる、お尻を床にこすりつける、自分の尾を追いかけるなどの行動をします。

病気が進行すると肛門嚢が化膿し、肛門付近の皮膚が破れて出血してしまう場合もあります。

 

治療としては、肛門腺を絞り、溜まりすぎている分泌液を排出させます。

炎症や化膿がある場合は、肛門嚢の洗浄や、薬の投与を行います。

症状が重度の場合、破れた皮膚を縫合したり、肛門嚢を摘出するなどの外科的な処置も必要なこともあります。

 

今回の症例はすでに破裂して排膿が済んでいました。

傷の大きさは縫合を必要とするほど大きくなかったので、患部を消毒をし、抗生剤で治療を行います。