犬の健康管理
健康管理スケジュール
下記のスケジュール表を目安にして来院して下さい
なお地域の病気の発生状況により接種時期、種類、回数等は異なってきます。
予防注射
早期ワクチン接種
母親からもらった免疫が無くなる生後2~3か月頃から、子犬が伝染病にかかる危険性があります。 伝染病は、時には愛犬の命さえもおびやかす恐ろしい病気です。 愛犬を伝染病から守るために、「ワクチン接種による病気の予防」をしましょう。母親から受けた免疫が無くなる前に、子犬が病気にかかる割合をより低くするためには早い時期でのワクチン接種が必要です。さらに、確実な予防効果を得るためには、2~3回のワクチンを接種する必要があります。 ワクチンは伝染病予防のためのものですが、100%病気を予防できるものではありません。しかし、ワクチンを接種した犬は、病気になってしまったとしても、ワクチン接種をしていない犬と比べると、その症状ははるかに軽くすみます。
- 子犬には3週間以上の間隔で2~3回
- 成犬には免疫を持続させるために、年一回の追加接種が必要です。
- ワクチン注射後すぐに抵抗がつくわけではありません。他の犬との接触をできる限り避け(仔犬の場合)、種々のストレスを与えないようにしてください。
主な伝染病
犬ジステンパー
高熱、目ヤニ、鼻水が出て、元気や食欲がなくなり、嘔吐や下痢もします。 また、病気が進むと神経系がおかされマヒなどの後遺症が残る場合があります。 死亡率の高い病気です。
犬伝染性肝炎
発熱、腹痛、嘔吐、下痢がみられ、目が白く濁ることもあります。 生後1年未満の子犬が感染すると、全く症状を示すことなく突然死することがあります。
犬アデノウイルス2型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
発熱、食欲不振、クシャミ、鼻水の他、短く乾いた咳がみられ、肺炎を起こすこともあります。 他のウイルスとの混合感染により症状が重くなり、死亡率が高くなる呼吸器病です。
犬パルボウイルス感染症
激しい嘔吐、下痢を起こし、食欲がなくなり、急激に衰弱します。 重症になると脱水症状が進み、短時間で死亡することもあります。伝染力が強く、死亡率の高い病気です。
犬パラインフルエンザウイルス感染症
カゼ症状がみられ、混合感染や二次感染が起こることもあります。 伝染性が非常に強い病気です。
犬コロナウィルス感染症
主に嘔吐や下痢、脱水の症状を起こします。 幼若な仔犬の場合、犬パルボウィルスなど他のウィルスや細菌などの二次感染を誘発し、 症状が重くなる場合があります。
犬レプトスピラ感染症
3種類のタイプがあります。 発熱、嘔吐、黄疸、歯肉からの出血がみられます。 腎炎・肝炎症状などが現れ、発熱し、元気食欲がなくなります。 また、嘔吐や血便をし、腎臓がはれて死亡することもあります。 汚染した下水、沼、田の水を飲んだり犬の尿からも感染します。これは人間にも共通の伝染病です。
フィラリア症
フィラリア症について
フィラリア症は犬の心臓や肺の血管内に寄生し、血液中の栄養分を吸って生きる細長いそうめんのような白い虫です。 感染すると心臓、肺はもちろんのこと肝臓、腎臓などに異常をきたします。 犬フィラリア症は蚊によって広がる感染症です。フィラリア症は発見が遅れると死に至る確率の高い、犬にとって大変恐ろしい病気です。
こんな症状に注意してください
- 食欲がなくなる
- 呼吸が速くなる
- 口、眼などの粘膜に赤みがない
- 体重が減少する
- 散歩に行きたがらない
- 尿が赤みを帯びる
- ゼーゼーした咳をする
- 運動後に失神して倒れる
- 腹囲が大きくなってきた
フィラリア症の予防
- 血液検査でフィラリアに感染しているか確認
- 毎月一回の投薬
蚊の吸血期間は地域によって異なります。フィラリア症予防は継続が大切です。途中でやめてしまうとそれまでの薬が無駄にまります。
ノミ・ダニ予防
犬にノミ・ダニが寄生すると皮膚炎や病気を引き起こします。
また、犬に付いたノミやダニは飼主様を刺すこともあり、人にも感染する人と動物の共通感染症を引き起こします。ここ数年で感染が確認されており人の死亡例もあるSFTSなどもその1つです。
現在、いろいろなノミ・ダニの駆虫薬がありますが、お薬の成分や駆除効果、持続効果は同じではありません。
その子にあったお薬や投与方法のアドバイスも致しますのでご相談ください。
不妊・去勢
なぜ不妊去勢手術が必要か?
ひとつは、望まれない不幸な動物を増やさないためです。
日本では、毎年引き取り手のいない多くの犬猫が人間の手で天国に送られています。この事実を考えれば、軽い気持ちで動物を繁殖させることは、できないはずです。
もうひとつの目的は、動物の健康とQOLを向上させ、人間社会の中で長く幸せに暮らすためです。手術により生殖器関連の病気が予防され、精神的にも安定します。不妊去勢手術は、飼主として責任ある選択、さらには、動物にしてあげられる最良の選択でもあります。
不妊手術
- どんな手術?
- 全身麻酔下で両側の卵巣と子宮を摘出します。傷も大変小さく、約1週間後に抜糸した後は通常の生活に戻れます。不妊手術を受けた動物は繁殖能力がなくなります。
- どんな効果があるの?
- 生後6ヶ月の性成熟前に不妊手術を行えば、異性の動物に対する性的行動はほとんどなくなります。
発情期特有の神経質な状態や鳴き声、発情に伴い出血などがなくなることは、家族として生活する上で大きなメリットです。
医学的には、子宮蓄膿症、卵巣嚢腫、乳性腫瘍などを予防することができます。乳腺腫瘍の予防には、手術時期もポイントです。ある時期を過ぎると予防効果は極端に下がります。
去勢手術
- どんな手術?
- 全身麻酔下で両側の精巣(睾丸)を摘出します。傷も大変小さく、約1週間後に抜糸した後は通常の生活に戻れます。去勢手術を受けた動物は繁殖能力がなくなります。
- どんな効果があるの?
- 生後6ヶ月の性成熟前に去勢手術を行えば、異性の動物や人間に対する性的行動(マウンティング)や縄張りを維持するための行動(マーキング)は、ほとんどの場合なくなります。
動物同士の喧嘩や攻撃性も大幅に減らせます。
医学的には精巣腫瘍、前立腺肥大、前立腺炎、肛門周囲腺腫瘍などの予防効果があります。
また、精巣が陰嚢の中に入っておらず、お腹に留まっている状態は、正常な場合に比べ、腫瘍になる可能性が8倍といわれていますが、これも手術により未然に防げます。
繁殖できない環境下での性衝動は、動物にとってもフラストレーションやストレスの原因です。去勢によってこうした問題から開放され、人間ともよい関係を築くことができるでしょう。
ベッセルシーリングシステム
当院では「縫合糸肉芽腫」の発生を予防するために「ベッセルシーリングシステム」を使用しての不妊手術を推奨しています。
「ベッセルシーリングシステム」とは縫合糸を使うことなく血管を処理する機械で約7mmまでの血管を処理できます。
これらのシステムを使用する事で極限まで「縫合糸肉芽腫」の発生を抑える事ができ、雄犬・猫の去勢手術ではほぼ100%予防が可能となりました。また、従来糸によって縫合していた時間の大幅な短縮が可能となり、動物に対する負担も大幅に軽減する事が出来ます。特に縫合糸肉芽腫の発生リスクの高いダックスフンド・チワワ・シーズー・マルチーズ・ヨークシャテリア・柴犬・レトリーバー犬などの飼い主さんには特におすすめ致します。
※ベッセルシールングシステムや超音波メスを使用しての手術は人間の病院では通常となっていますが、獣医科領域ではごく一部の施設でのみの使用となっております。