僧房弁閉鎖不全症と三尖弁閉鎖不全症の犬
2017.12.14
本日は心臓が悪いために咳と呼吸困難なキャバリアのワンちゃんをご紹介します。
主訴は咳と呼吸が苦しいとので来院されました。元気食欲も低下していました。 X線検査と心臓の超音波検査の結果から、 僧房弁閉鎖不全症と三尖弁閉鎖不全症があるのが確認されました。 僧房弁は左心房と左心室の間にある弁で三尖弁は右心房と右心室の間にある弁で、 老年期に後天的に発生する弁の異常により起こる疾病です。 マルチーズやポメラニアンといった小型犬で発生が多いですが、 キャバリアでの発生も多い疾病です。 下記の図は本来一定方向に流れる血液が僧房弁と三尖弁の部位で逆流が起きている模式図です。 この患者さんに対しては血管拡張薬と利尿薬を2種類使用して症状を落ち着かせていますが、 中にはそれだけでは症状が抑えられないために他の血管拡張薬や心臓の収縮力を高める薬なども 使用する場合があります。 また、治療をしない期間が長いほど、症状が重度になっているワンちゃんが多いです。 何か思い当たる呼吸の違和感や咳をするのを見かけたときは早く診察することをお勧めします。 心臓が重度に肥大したことによる気管を挙上、後大静脈の拡張、肝臓拡張が認められます。