ならしの動物医療センター

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report 症例報告

猫の尿道閉塞

2022.09.23

尿道閉塞とは、尿道内にストラバイトやシュウ酸カルシウムといった結石が詰まったり、
尿道栓子という壊死組織や尿路の上皮細胞、タンパク質、凝固した血液などが塞栓する事で尿が出なくなる病気です。
そのまま経過すると急性腎不全となり、致死的となります。
原因としては、尿石症や尿道の炎症、尿道栓子、尿道狭窄、膀胱や尿道の腫瘍などが考えられます。
また尿道が細いという解剖学的な特徴のある去勢した雄猫で多く見られる傾向にあります。

症状として頻繁にトイレに向かい排尿しようとする、血尿、排尿痛などがあり、
落ち着きがなくなったり、触られるのを嫌がる、陰部を気にして舐めるといった行動を示す事もあります。
尿が出せなくなって24時間が経過すると意識レベルの低下や嘔吐、食欲低下、
体温低下などもみられるようになってきます。

48〜72時間が経過するとぐったりと危険な状態となります。治療には、尿道の閉塞を解除し、
尿道閉塞中に起こった腎不全などの異常の改善が主になります。

また尿道閉塞は再発しやすいので原因が明らかであればそれに対する治療が重要となります。


この治療を尿が出なくなってから早期に行う事が出来れば予後は良好ですが、遅くなる程危険性が増します。
トイレの回数が増えたり、血尿といった普段と異なる様子が見られたら早めに動物病院にご来院ください。

獣医師 古田