前立腺癌
2023.10.28
今回は前立腺癌が見つかり、膀胱−前立腺−尿道一括切除術を実施した症例です。
症例は14歳のダックスフンドの男の子です。
前立腺とは副生殖腺で精液の成分を生成しており、膀胱より尾側に尿道を囲むように存在しています。
人と違い、犬では前立腺腫瘍の発生率は低いですがほとんどが悪性の腺癌であり、前立腺全体が腫大し他の臓器への転移が起きてしまいます。犬の前立腺癌の特徴は若い年齢では去勢手術を受けても加齢とともに発生する可能性があります。
悪性の腺癌が多いため診断時は既に転移してしまっていて手術ができない症例が多いですが、今回の症例は早期に発見できたため外科手術を行いました。
膀胱−前立腺−尿道一括切除術を行い、膀胱から陰茎尿道まで一括で摘出しました。同時に内側腸骨リンパ節も切除しました。尿道を摘出するため尿管を腹壁に通す孔を作成し、そこから包皮内に開口し、包皮内に排尿させます。摘出した前立腺と郭清した左右内腸骨リンパ節は病理検査に提出し、前立腺は悪性の前立腺癌で、左右内腸骨リンパ節への転移はありませんでした。
現在内科的な抗腫瘍治療を行っており、経過良好です。
根本