ならしの動物医療センター

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report 症例報告

乳び胸

2017.12.22

本日の症例は呼吸が苦しそうな猫ちゃんです。

荒川はっち

レントゲン写真では胸の中の構造がわからないほど真っ白になっています。
これは胸の中になんらかの液体が貯まっているためだと考えられます。


IMG_1318


 エコー検査により液体の貯留している場所に針を刺して液体を抜くとこのような乳白色でした。
これは普段リンパ管を通っている乳びという液体です。

乳びが胸の中に貯留している状態を乳び胸と呼び、外傷や心臓病、腫瘍、奇形などが原因で起こります。
しかし、ほとんどの場合が特発性で原因がわからない場合が多いです。


症状は元気食欲の低下、浅く早い呼吸、咳などが挙げられ、
胸の中に乳びが長い間存在すると胸膜炎や肺の癒着が生じる恐れがあります。

治療法は内科療法と外科療法があります。

この子の場合は心臓のエコー図検査により肺動脈弁狭窄症が見つかりましたので、
その治療をすることで乳び胸が改善するかどうか、今後の経過を見ていきます。