ならしの動物医療センター

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report 症例報告

会陰ヘルニア

2021.12.21

今回の症例は10歳のヨークシャーテリアです。

トリミングの身体検査の際にお尻の脇に軟らかい膨らみが見つかりました。

直腸検査やレントゲン検査を行ったところ、会陰ヘルニアであることが分かったため今回手術を行いました。

 

会陰ヘルニアは肛門の周り(会陰部)にある筋肉の間にすき間ができ、膀胱や腸がその隙間から飛び出してしまう病気です。

去勢していない高齢の雄犬に多く発生します。また、持続的に強い腹圧がかかることで発生しやすくなるといわれています。

今回の症例は去勢済みの雄でしたが、気管虚脱があり慢性的な咳が続いていたために、持続的に強い腹圧がかかっていたことが発生の原因のであると考えられます。

 

また、会陰ヘルニアでは飛び出る臓器によって症状が異なります。

腸が飛び出ている場合は便が出にくくなり、腸がねじれてしまった場合は腸閉塞を起こすこともあります。

膀胱が飛び出ている場合は尿が出にくくなったり、尿道がねじれてしまうと尿がでなくなり尿毒症の原因となります。

今回の症例は腸が飛び出ていましたが、比較的軽度だったため症状は認められていませんでした。

 

手術では、飛び出てしまった臓器をもとの位置に戻し、穴を塞ぎます。

今回の手術部位です

 

飛び出していた腸をもとの位置に戻し、穴の開いてしまっている部位の筋肉や靭帯を縫い合わせて、穴を塞ぎます

 

今回の症例では肛門の左右に会陰ヘルニアが認められたため両側の手術を行いました

 

手術後の様子です

術後の経過は良好で、現在入院下で術後管理を行っています。

 

獣医師 後藤