ならしの動物医療センター

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report 症例報告

僧房弁閉鎖不全症

2017.12.08

本日は、心臓専門医による特別診療日です。
 その中の、症例の1つを紹介致します。

心臓病の診察をしていると、他の心臓病に比べて一番出会う病気が僧房弁閉鎖不全症です。



心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁という弁の異常で,老年期に後天的に発生する。
犬の心臓病では最も多いものである.とくにマルチーズ,ポメラニアン,
ヨークシャーテリアといった小型犬に多く,発生は年齢とともに増加し16歳になると
75%がこの病気を持つと言われています。
ただし、キャバリアは1歳ですでに33%がこの病気を持っていると言われています。

弁や弁を動かすための構造が変性を起こし,しっかりと弁がしまらなくなるために、
左心室が収縮して全身に血液を送り出すときに,左心房の方に血液が逆流してしまいます。

この時点で疲れやすいなどの症状がでて、左心室からの血液の逆流の影響で左心房は肥大します。
症状で一番目立つ咳は,左心房の肥大で左側の気管支が圧迫されることにより起こります。
さらに左心房に流れ込む肺からの血管にも影響が及び、それが肺に影響を及ぼし、
肺水腫や右心系の異常も起こります.

右心系の異常が起こると、今度は心臓に戻る血液の欝滞が起こり、胸水や腹水がたまるようになる。
胸部のレントゲンや心臓の超音波検査などで診断をつけます。 胸部のレントゲンで、心臓がどのくらい大きくなっていて、心臓に負担がかかっていないかどうか、 その前に書いたように肺に水が溜まる肺水腫になっていないかどうかを確認し、 超音波検査にてどの程度心臓に負担がかかり、逆流をしているか、数字で算出します。 治療としては、血管を拡張させる薬、心臓の収縮を高める薬、 利尿効果を高めて体の中の余分な水分を減少させる薬で心臓の負担を軽減します。 もしくは、外科的に心臓の手術を行うケースもあります。