ならしの動物医療センター

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report 症例報告

免疫介在性血小板減少症

2022.06.26

 

皮膚が痒いとの事で来院したわんちゃん。

身体をcheckしていると腹部にこんなものが見つかりました。

これは「紫斑」といって皮下の内出血による青あざです。

血液検査を行ったところ血小板数が「0」という状況でした。

普段身体は、血を止める役割をもつ血小板と併せて「血が固まる」システムと「血が固まりすぎないように保つ」システムのバランスが保たれて、

出血したら止まり、また普段は血栓ができないようになっています。

この子は血小板が「0」でしたので、身体の至る所から出血するリスクが高く、脳出血・眼内出血・多臓器出血・消化管出血(吐血や黒色便など)・肺出血・などを引き起こし命の危険がある状態でした。

通常の精密検査と併せて、さらに遺伝子検査、内視鏡検査、CT検査、骨髄検査を実施し、「免疫介在性血小板減少症(ITP)」と診断し、免疫抑制療法を開始しました。

この病気は自分の免疫システムが自らの血小板を敵と認識し破壊し続ける病気です。

破壊のスピードが産生能力を上回ると血小板減少症となり、止血異常が生じます。

この子は治療開始後2週間で血小板は正常値まで改善し、現在は薬の量を減らしながら維持治療中です。

 

獣医師 古田