ならしの動物医療センター

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report 症例報告

横隔膜ヘルニア

2017.12.14

本日は外出後、呼吸が荒く気持ち悪そうで食欲がない若い猫ちゃんが来院されました。
来院時、呼吸速迫、外見上の外傷なし。聴診した所、右の肺音が聞こえません。
右の肺が膨らむ上で何か障害がありそうです。
特に外に出る猫ちゃんは交通事故等は必ず可能性として考慮します。
よって精密検査をさせて頂きました。

血液検査 はやや肝臓に負担がかかっている以外、内蔵の重度の障害はなさそうです。
一方、レントゲンでは大きな異常が見つかりました。

横隔膜ヘルニア

正常な猫ちゃんのレントゲンはこちら(以下) 

正常猫

横隔膜のラインが確認できず胸の中に心臓と肺以外のモノが胸腔内を
占拠し呼吸を邪魔しています。

併せて超音波検査で胸の中に腸が認められたため(おそらく)
外傷性横隔膜ヘルニアと診断しました。

 横隔膜ヘルニア



この病気は交通事故や転落・外傷などで腹部に急激に圧力がかかり、
胸部と腹部を分け隔てる横隔膜が破裂し、胃や腸・肝臓や脾臓等の内蔵が
胸の中に入り込むことで発症します。

当然、呼吸が妨げられ、息苦しさや気持ち悪さとして症状が現れます。 
重症であれば低体温や呼吸困難によって致死的となる場合もあります。

治療は基本的に手術になりますが、重症例では状態が悪いことが多く、
現在一般状態の改善を目的として酸素室で安静にしつつ、
治療を開始し手術を検討している所です。