ならしの動物医療センター

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report 症例報告

潜在精巣

2017.12.23

本日の症例は、精巣が降りてこない若いワンちゃんです。

胎仔の精巣はお腹の中にありますが、通常は、生後間もなく陰嚢内に移動します。


しかし、生後も片側あるいは両側の精巣が陰嚢内に移動せずに、腹腔内や鼠径部(股の部分)
に残った状態を潜在精巣と言います。


片側の精巣が正常な場合は、生殖能力はありますが、
両側ともに潜在精巣の場合は生殖能力はありません。


また、潜在精巣は将来的に精巣腫瘍になる確率が高くなると言われています。
(正常な精巣の約13倍という報告もあります)

 
ホルモン分泌の異常や、
鼠径管(お腹の中にある精巣が陰嚢内に移動するときに通る道)の
構造異常などにより起こると考えられています。

一部の例では遺伝的な要因が疑われているため、
この病気を持つ動物は繁殖させないようにすることが推奨されます。

潜在精巣は通常の精巣よりも小さく、精子形成能力はありません。
精巣が鼠径部にある時には、ペニスの横にコリコリとしたしこりができる場合もあります。


治療として開腹手術が必要となります。


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今回の症例も開腹手術を行い、精巣を摘出しました。