本日の症例は便の中から虫が出てきたワンちゃんです。




こちらが便から出てきた寄生虫、犬回虫です。

この白いひも状の犬回虫が腸内に寄生する事で、下痢等の症状をおこします。


感染した犬の便中に排泄された回虫の卵を口から摂取して感染する事もありますが、
主に感染した母犬の胎盤や乳中から、回虫の幼虫が子犬に感染する事（母子感染）が問題となります。


また、人が誤って回虫の卵を口から摂取してしまうと「幼虫移行症」 という病気を
発症してしまう事があるため、便を処理した際は必ず手を洗うようにしてください。


子犬が感染すると、下痢や嘔吐等の消化器症状や発育不良、お腹が膨れる等の症状が見られます。


また、元気の消失、体重低下、貧血なども見られ、ひどいときには命に関わる場合もあります。
一方、成犬が感染すると、下痢が見られる事もありますが、無症状の場合もありあります。


治療は駆虫薬の投与を行います。
駆虫薬の投与は1回では不十分な事も多いため、定期的に検査をし、必要があれば再投与します。
多頭飼いの場合は、他の全ての犬にも同時に駆虫薬の投与をする必要があります。


 


このワンちゃんは、便検査でも犬回虫卵が検出されました。

駆虫薬で治療をし、今後は定期的な便検査を行っていきます。