ならしの動物医療センター

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report 症例報告

猫 副腎腫瘍

2025.03.21

本日の症例は副腎が腫瘍化したネコちゃんです。

猫の副腎腫瘍は比較的稀な腫瘍です。良性腫瘍の副腎腺腫や悪性腫瘍の副腎腺癌、褐色細胞腫などがあります。

副腎はホルモンを分泌する器官で、機能性、非機能性の副腎腫瘍にも分けられます。機能性の場合、副腎の皮質や髄質、どこで腫瘍化しているかによってホルモンが過剰分泌されるか変わってきます。

過剰分泌されるホルモン次第で、高血圧や低カリウム血症、筋委縮、易感染性、高血圧による全身的な異常など色々認められる可能性があります。

基本的に治療の第一選択は外科的に摘出手術を行うのが一番ですがリスクも伴います。

内科療法はあくまで、腫瘍化した副腎から過剰分泌されるホルモンによる異常を抑えるのみで腫瘍自体は進行していきます。良性か悪性かで進行具合も変わってきますが、周囲組織や後大静脈ひの腫瘍の浸潤、血栓のリスク、遠隔転移なども認められることがあります。

今回の症例は数年前に急にグッタリし体調不良で来院し、精査を行ったところ、副腎腫瘍がみつかりそれに伴う出血で全身状態が悪くなっていました。対症療法で状態は持ち上がりましたが、根本治療の為に外科手術をお勧めしましたが、手術のリスクを懸念され定期健診になりました。

その後、定期健診にはいらっしゃらず間が空いて再度体調不良で来院され精査を実施しました。

精査の結果、出血はしておりませんでしたが、腎臓や肺に転移を疑う所見が見つかり、後日腎臓の細胞診検査およびCT検査を実施致しました。

←肺のCT画像です。ところどころに転移を疑う所見を認める。

←腎臓のCT画像です。肺同様転移を疑う所見あり。

←副腎腫瘍のCT画像です。

腎臓の細胞診結果は転移を強く疑う結果で診断がつきました。

獣医師 田中