ならしの動物医療センター

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report 症例報告

猫の膵炎の検査

2017.12.20

 本日の症例は、以前にも触れた事があるのですが、膵炎に関してです。
しかし、今回は猫の膵炎の検査について記載させて頂きます。
内容がやや重複してしまうのですが、膵炎について軽くご説明致します。

膵臓は消化酵素を十二指腸に分泌する働きをもっています。
正常時の膵臓内では、膵酵素は不活性の状態で存在し、腸内に分泌されて初めて活性化されます。
この動態が何らかの原因で乱れ、膵臓内において膵酵素が活性化されて膵炎が起こります。
猫の場合は、ウィルス性疾患やトキソプラズマ症などの感染症、胆管肝炎、
炎症性腸疾患による炎症が膵臓に波及することが原因とされています。中年齢以上で多く認められます。
しかしながら、直接的な因果関係を特定するのは困難とされています。
 
膵炎の診断には、臨床症状、血液検査、超音波検査が必要です。
血液検査では、白血球数、CRP(犬の炎症反応の指標)、肝酵素、
膵酵素(アミラーゼ・リパーゼ)を測定します。

アミラーゼ・リパーゼは犬の膵炎の50~60%で上昇が認められますので、スクリーニング検査には有用です。

猫では血液検査で特徴的な所見は得られませんが、他の併発疾患を見つけるためには重要な検査です。
猫ではアミラーゼ・リパーゼの測定意義も少ないようです。

現在、犬と猫の膵炎の診断に最も活用されているのは、PLI(膵特異的リパーゼ)測定です。
近年日本で迅速に検査結果が得られるようになり、80%の診断精度がありますので、
当院では上記の検査と合わせて診断に用いています。

検査センターに血液を送り、Spec-fpLという猫の膵特異的リパーゼを測定するのですが、
最近院内で簡単にPLIというものを検査出来るキットができました。
これにより迅速な膵炎の検査を行う事が出来ます。


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