ならしの動物医療センター

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report 症例報告

眼球脱出

2020.03.30

今回は、眼球脱出した犬の症例について報告いたします。

眼球脱出は、外傷性に生じ、その原因の多くは交通事故や犬同士の喧嘩などが多いとされています。

犬では、長頭種に比べ、ボストンテリア、パグ、ペキニーズなどの短頭種が圧倒的に多い。

短頭種は、頸部を強くおさえたり、頸部の皮膚を強く掴んだだけでも眼球脱出を起こす危険性があると言われています。

眼球脱出は外科的眼球整復が必要な救急疾患です。犬の眼球脱出の20%は、早期の適切な処置により視覚を回復すると言われております。

 

今回の症例は、ワンちゃんに咬まれてしまい、眼球脱出してしまったポメラニアンの子です。

すぐに、病院に連れてきていただき、状態を確認しました。完全に眼球脱出しており、対光反射は直接、間接ともに陰性。

大きな合併症は起こしておらず、そのままお預かりし、全身麻酔下での眼球整復術を行いました。


眼瞼を毛刈りし、眼瞼及び眼球の消毒を行います。

 

 

 

 

 


眼球の整復を行い、正しい位置に戻りました。

 

 

 

 


眼瞼を縫合します。

 

 

 

 

この後、抗炎症治療などの治療を実施し、2週間後に抜糸を行ったところ、視覚も回復し、後遺症や合併症もなく、眼球運動も正常でした。

現在、経過は良好で、定期的に検診を行っております。

獣医師 田中