肝内門脈体循環シャント(PSS)
2021.08.14
今回の症例は4か月のトイプードルです
元気、食欲がなく、よだれを垂らしているとご来院されました。
血液検査で肝臓の数値が高く総胆汁酸の検査でも異常値が認められたため、門脈体循環シャントを疑い後日改めてCT検査を実施したところ、肝内門脈体循環シャントが認められました。
門脈は腸管で吸収された栄養素やアンモニアなどの毒素を含む血液を肝臓に送る血管です。
肝臓ではも門脈から送られた血液から必要な栄養素を受け取り毒素を排出します。
門脈体循環シャントは多くが先天性(生まれつき)で門脈と静脈(体循環)の間を結ぶ異常な血管(シャント
血管)が存在することで、門脈の血液が肝臓を通らずにシャント血管を通って体循環に移動する結果、肝臓には十分な栄養が供給されずまた毒素を含んだ血液が全身に回ります。
そのため、成長不良や体重減少といった症状や、ふらつき、けいれん、よだれなどの神経症状を引き起こします。
今回この症例は外科的に治療ができる部位にシャント血管があったため、外科の専門の先生をお呼びして手術を実施いたしました。
外科治療ではシャント血管を分離して、門脈圧が高くなりすぎないように何度も門脈圧を確認しながら結紮を行い、シャント血管を封鎖します。
この症例は、手術前に高かった肝臓の数値も低下し、術後の状態は良好です。
肝臓庇護薬を使用しながら、経過を観察しています。
獣医師 後藤