肥満細胞腫
2021.11.05
今回の症例は12歳5カ月のジャックラッセルテリアです。
数年前からあったできものが大きくなってきたとご来院されました。
右の胸に約6mmの皮膚腫瘤が認められた為、細胞診検査を実施しました。
細胞診検査では、針を刺して吸引し細胞を採取しその細胞を顕微鏡で確認することで、
その腫瘤がどのような細胞からできているかを診断します。
今回の症例は細胞診検査の結果、低悪性度肥満細胞腫と診断されました。
肥満細胞腫は悪性腫瘍のひとつで肥満細胞という細胞が腫瘍化して発生します。
肥満細胞はヒスタミンという物質を放出しますが、
腫瘍化して過剰に放出されるとアレルギー症状をひきおこしたり、
ひどい場合はショック症状を引き起こすこともあります。
今回の症例の様に皮膚に発生した場合、皮膚に腫瘤ができかゆみや出血を伴うことがあります。
治療は外科的に切除ができる場合は切除を行い併せて炎症を抑える内服薬を投与します。
切除が不可能な場合や全身に転移が認められる場合、
再発の可能性がある場合などは抗がん剤や放射線治療も検討します。
今回の症例は摘出手術を実施しました。
術後の経過は良好で、現在は内服薬での治療を行いながら、
摘出した腫瘤の病理検査の結果を待っているところです。
獣医師 後藤