肺腺癌(分子標的薬)
2025.01.31
今回の症例は13歳のわんちゃんです。
「咳が治まらない」ということでご来院され、X線検査を行ったところ、胸腔内に腫瘤が見つかり精査ののちCTおよび細胞診にて肺原発の上皮系悪性腫瘍(≒肺腺癌)と確定しました。
原発性肺腫瘍である肺腺癌は犬では胸腔内腫瘍では比較的よく認められます。
主な症状としては咳や呼吸困難を伴うことが多く、治療としては摘出可能であれば肺葉切除により外科的に提出することが最良の選択となります。
しかし、今回は腫瘍が大きく、心臓や大血管などとの位置関係から手術困難と判断し、分子標的治療薬を使用した内科治療を主な治療として開始しました。
使用後2週間~4週間ほどで腫瘍は顕著に縮小し、咳などの症状も消失、現在は順調に継続治療中です。
左が治療開始前、右の写真が1-2か月後の写真です。
中心の心臓の向かって右側の陰影が縮小していることがわかります。
腫瘍治療では①外科治療、②化学療法、③放射線治療が主な治療として、(ときに免疫療法なども)、
様々な選択肢があげられますが、当院では症例ごとにご家族とよく相談し、ベストな治療を考えていくことを心掛けています。
獣医師 古田