ならしの動物医療センター

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report 症例報告

胃ヘリコバクター感染症

2025.02.28

本日は千葉県獣医師会年次大会が開催されており、当院獣医師が学術発表を行っております。

演題が「犬の消化管内視鏡精査症例における胃内螺旋菌感染症の診断法・併発病態・治療経過の包括的検討」

というものです。

ヒトではピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が感染することで胃炎を引き起こしたり、貧血・胃がん・血小板減少症などほかの疾患との関連が指摘されています。

当院では内視鏡検査を積極的に行っていることもあり、ヒト同様に胃内にヘリコバクター(厳密にはピロリ菌とは異なる)の感染を認める症例が比較的多く認められます。

また、わんちゃんでは抗体検査や呼気試験がまだ確立されていないため、現状は内視鏡検査が主な診断方法となります。

まだ未解明の部分も多いとされていますが、消化器症状や逆流性食道炎と関連していると思われる事も多く、慢性腸炎(≒IBD)と合併していることも多々あります。

除菌治療単独で軽快する症例や除菌治療をすることで併発疾患のコントロールが良好に経過する場合もあり、ヘリコバクター感染症を認めた場合は除菌治療をお勧めしています。

長引く・繰り返す消化器症状を認めた場合は内視鏡検査を含めた精密検査を積極的に行うことで診断・治療につなげられることが多いことから上記の症状がみられる場合は早めにご相談ください。

 

逆流性食道炎

胃炎(赤い部分)

顕微鏡で認めたらせん菌(≒ヘリコバクター属菌)

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獣医師 古田