胆泥症
2017.12.14
胆泥症とは、胆汁が濃縮して変質し泥状に変性したもの(胆泥)が胆嚢に貯留した 状態をいいます。
胆泥がさらに変質して石状になったものを胆石といいますが、 犬では胆石症の発生は比較的稀です。 内分泌の異常(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症など)や細菌感染から その他、食事内容、不規則な食生活、体質なども関連しているといわれています。 初期の状態では、特に大きな症状を示す事は少なく、 なにか症状を伴って診断する事は実はほとんどありません。 その他の症状にあわせて検査をした際に偶然発見される事がほとんどです。 時には血液検査でALPやγ-GTPの上昇により早期発見出来る事もあります。 進行して、胆嚢炎が悪化したり、肝障害が生じたり、あるいは胆石や胆泥が胆嚢から出て 総胆管をふさいだりすると、元気、食欲低下、嘔吐が認められたり、 さらに黄疸が現れる事もあります。 重症化すると、胆嚢が破裂し、腹腔内が汚染されて、臓器が傷み、 腹膜炎を起こすこともあります。 似た病気として、非炎症性の胆嚢管閉塞に起因する「胆嚢粘液嚢腫」も注意が必要です。 下の写真のようにゼリー状になった胆汁液が出口である胆管を閉塞しパンパンになり、 いずれ胆嚢破裂により腹膜炎を生じる事があります。 治療は無症状であれば胆汁の分泌を促進する利胆剤による内科的治療が中心です。 根本的な原因が、胆嚢炎の場合は、抗生物質や消炎剤による治療、 甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症などの内分泌異常が原因の場合は、 ホルモン剤による治療が必要となります。 内科的治療に反応しない場合、あるいは胆泥、 胆石などが物理的な閉塞を引き起こしている場合は外科的な処置が必要になります。 ビーフジャーキーなど、高カロリー・高脂肪のおやつ、または不規則な食事には注意が必要です。バランスの取れた食事を与える事や適度な運動をする事で予防したり悪化を防ぐ手助けになります。