腎臓腫瘍
2020.05.19
今回の症例は、16歳のミニチュアダックス・フンドです。
尿検査で膀胱炎が見つかりその際に実施した腹部エコーで右の腎臓に腫瘍を疑う病変が見つかりました。
そのため、針を刺してサンプルを採取するFNAという検査をしたところ、腎臓の腫瘍(腎臓がん)の可能性が高いことが分かりました。
腎臓に出来る腫瘍は他の場所に出来た腫瘍の転移によるものが多く、腎臓由来の腫瘍の発生はイヌ、ネコどちらでも稀です。
腎臓由来の腫瘍はイヌでは腺癌が最も多いといわれています。
腎臓がんの治療は、他の場所に腫瘍の転移がなく反対側の腎臓が正常に尿を作れている場合は、片方の腎臓を摘出してももう片方の腎臓が代わりに尿を作ることが出来るため、手術での腫瘍のある腎臓を摘出する治療が適応となります。
そのため今回の症例でも右の腎臓以外の場所に腫瘍の転移があるのかどうかの確認と、左の腎臓が正常に尿を作れているかの確認をするためにCT検査をおこないました。
CT検査の結果、肺やその他の臓器に転移している可能性があることと、腫瘍のない左の腎臓よりも腫瘍のある右の腎臓のほうが沢山尿を作っている可能性が高いことがわかりました。
これらの検査結果と年齢を考慮し、この症例では手術での治療は行わず、これから抗がん剤のみで治療を行っていく予定です。
獣医師 後藤