ならしの動物医療センター

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report 症例報告

膀胱結石と基礎疾患

2023.01.28

今回は8歳のチワワの症例です。

昨年8月に排尿困難を主訴に当院に来院されました。腹部超音波検査、X線検査、尿検査の結果膀胱結石が認められたため、結石を摘出する手術を行いました。

これが摘出した結石の写真です。

 

また、この症例では排尿困難と同時期に表皮に細菌感染がおこる膿皮症が認められたため、薬用シャンプーや抗菌薬等で治療しておりましたが、何度も再発を繰り返すとのことで、基礎疾患がある可能性を考慮して検査を実施したところ、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)であると判明しました。

 

クッシング症候群は、副腎という臓器からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌される病気です。この病気は犬で多くみられ、原因は脳にある下垂体腫瘍か副腎の腫瘍によるものです。多飲多尿、腹部膨満、皮膚のトラブル(脱毛、石灰沈着、非薄化、色素沈着)、筋力の低下、呼吸促拍などがあげられます。また、今回の症例のように膀胱炎や皮膚炎にかかりやすくなります。

 

クッシング症候群は全身に様々な変化をもたらす病気です。何度も繰り返す膀胱炎や皮膚炎がある場合、今回の症例のように重要な基礎疾患が隠れていることもあります。

 

山崎