血栓塞栓症
2021.01.11
今回の症例は15歳2カ月の柴犬です。
11月に突然後肢が立たなくなりご来院されました。
血液検査にて膵炎が認められ、腹部エコーにて腹大動脈に血栓が認められたため、血栓塞栓症による後肢麻痺と診断しました。
犬の動脈血栓塞栓症は、急性に起こる場合と慢性に起こる場合があります。
急性の症状は、突然の後肢虚弱や不全麻痺が代表的ですが、慢性の症状は背部の痛みなどはっきりしないこともあります。
犬では先天的に血栓を形成しやすい素因があることは少なく、血栓を形成する膵炎などの基礎疾患が存在する事がほとんどです。
その為、基礎疾患が特定できた場合、基礎疾患の治療と抗血栓療法を並行しておこないます。
この症例も膵炎の治療と抗血栓療法を行ったところ、血栓が少し退縮し血流の回復が徐々に認められ、側副血行路も認められました。
この二つによって改善後肢への循環が改善したようで、入院後2週間で自分で歩いて退院する事ができました。
現在は通院にて治療を継続しています。
獣医師 後藤