血管肉腫
2020.06.29
今回は、血管肉腫について報告します。
先日、食欲や元気の低下、消化器症状を認め来院されたワンちゃんです。
身体検査でやや可視粘膜の蒼白を認め、血液検査、レントゲン検査、腹部超音波検査を実施したところ、
貧血、血小板の減少、脾臓および肝臓に腫瘤を疑う所見を認めました。
腹腔内出血は認めませんでしたが、状態や経過、検査の所見を総合的に評価し、脾臓の血管肉腫の可能性、肝臓には転移をしている可能性が高いと判断しました。
血管肉腫は、血管内皮細胞由来の悪性腫瘍と定義されており、犬において脾臓に最も多く発生し、心耳や皮下にも発生を認める。
脾臓の血管肉腫の多くは、6~17歳齢に認められ、どの臓器にも転移する可能性があり、肝臓、心耳、脳、大網、腸間膜、腹膜への転移を多く認める。
今回の症例は、貧血を認めた為、輸血を行い、一般状態の改善を図り、その後、脾臓の摘出手術を実施致しました。
術後の経過は良好で、貧血や一般状態の改善も認めております。
今回の摘出手術は、あくまで腫瘍の減容積、腫瘍内での出血予防の目的になります。
今後、抗癌剤の治療を始めていく予定です。
獣医師 田中