鼻腔内腺癌①
2020.12.23
今回の症例は12歳のミニチュアシュナウザーです
くしゃみを主訴に来院され、レントゲン検査を行ったところ左鼻腔の不透過性の亢進が認められました。
炎症や感染の際に増加する白血球の値も高かったため抗生剤にて治療を行い、くしゃみは改善傾向を示しましたが鼻出血が認められ、再度レントゲン検査を行ったところさらに左鼻腔内の不透過性の亢進が認められた為、頭部のCT検査と硬性鏡での生検を実施しました。
検査の結果、左鼻腔内に鼻腔内腺癌という腫瘍があることが分かりました
イヌの鼻腔内に発生する腫瘍の約50%が鼻腔内腺癌であるといわれており、中高齢での発生が多い腫瘍です。
多くは鼻腔付近に限局した発生が多く遠隔転移を認めないことが多く放射線治療が適応となります。
鼻腔内腺癌は無治療の場合3ヵ月程度の生存であるのに対し、治療を行う事で7カ月前後の生存が期待できます。また、抗癌剤での治療や手術を併用することによって1年以上に生存期間を延ばすことも期待が出来ます。
今回の症例では明らかな遠隔転移は認められず局所浸潤のみであったため、超音波乳化吸引術と放射線、抗癌剤治療を組み合わせて実施することになりました。
獣医師 後藤