FDP
2017.12.20
健康な状態の血液は、様々な凝固因子(血を固める物質)の働きで
出血した時に自然に止血されます。 また血管の中では、様々な抗凝固因子(血を固まらせない物質)の働きにより 血液は固まらないようにする仕組みをもっています。 様々な重症の基礎疾患のために過剰に凝固因子が働き 全身の細かい血管の中で血が固まりやすくなった状態を 播種性血管内凝固症候群(DIC)と言います。 DICになると凝固因子が不足して出血しやすく止まりづらくなります。 また全身の臓器の細かい血管内で固まった血により 血の巡りが悪くなり多臓器不全になります。 DICになり凝固因子が活性化している時には 固まった血を溶かす力(線溶系)も活性化している事が多く その指標であるFDP(フィブリン・フィブリノーゲン分解産物)は 血小板、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)などの 凝固系検査と共にDICの診断に用いられます。 FDPの検査キットは人用しか発売されておらず そのなかで動物でも使用できるキットは少し前に販売が終了し 検査センターに血液を送って測定してもわなければならなくなり 迅速な測定が困難になっていました。 この度、大学病院の先生に動物にも使用できる他社のキットをご紹介いただき ふたたび院内で迅速なFDPの測定が出来るようになりました。 ワンちゃんがDICになっていないか検査しました。 左が陽性コントロール(FDPが多い状態) 右が陰性コントロール(FDPが少ない状態)です。 数段階に希釈した血液で検査をしましたが FDPは検出限界以下(少ない状態)と診断されました。 血小板、PT、APTTも異常はなくDICになっていないことが判りました。 今後はDICの予防をしながら基礎疾患の治療を続けます。 追記 このワンちゃんは無事に退院されました。