ならしの動物医療センター

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report 症例報告

SAM(僧帽弁収縮期前方運動)

2019.05.25

5月24日、循環器専門診察に来院された、ねこちゃんの症例です。

SAMとは、収縮期に僧帽弁装置が、心室中隔側へと屈曲変位する現象です。

①心室中隔壁の肥大により、血液の流出路が狭窄し、高速で流出した血液により陰圧が生じ、僧帽弁が中隔側へ引き寄せられる

②乳頭筋の前方変位により、収縮時に僧帽弁が中隔側へ移動することで、流出路内に変位する

③前尖と後尖が接合することで、先端部に余剰部分が生じ、血流の影響を受けて中隔に押し付けられる

などのメカニズムとして提案されています。

必発ではないが、SAMにより、僧帽弁中隔尖と壁側後尖に接合不全が生じることで、僧帽弁閉鎖不全症が認められることがあります。

平常時でも重度である場合は失神、運動不耐性等の兆候を認めることがあります。

この症例は現在、βブロッカーの内薬により、コントロールしています。